政府が郵政改革法案について協議した30日の閣僚懇談会では、ゆうちょ銀行の預入限度額引き上げなどが焦点となったが、これと並んで金融機関が不安視している問題が、ゆうちょ銀行の住宅ローンなどへの本格参入の可能性だ。特に地方銀行や信用組合などは、地域に根ざす郵便局と直接競合するだけに危機感を強めている。 (山口暢彦、滝川麻衣子)
[イラストで見る]郵政改革による資金の流れの変化
「郵便貯金、簡易保険とも民間並みに業務を自由化する」。2月の政府素案には、こんな趣旨の文言が盛り込まれた。その上で具体的な検討項目として住宅ローンなどの業務が明記されており、金融機関の不安をかき立てている。
企業向け融資が低迷する中、一定の需要が見込め アグ
る住宅ローンはゆうちょ銀にとって「積極的に扱いたい商品」(幹部)だ。これまでも将来的な本格参入をにおわせており、平成20年4月には静岡県のスルガ銀行と提携し、住宅ローンを含む販売代理業務も始めた。
ただ、民営化が大前提だった当時と、郵政改革法案で政府関与が高まる今後とは状況が違う。ただでさえ預入限度額が引き上げられれば資
金量は増える。住宅ローンは、つき合いのある金融機関を通じて組むことが多く、顧客基盤が大きく業務も効率化できるゆうちょ銀は有利だ。
このため、地銀関係者からは「体力のない地方の金融機関はひとたまりもない」との声が漏れる。すでに地銀55行は地銀住宅ローン共同研究会を設立し、女性専用の住宅ローンを共同開発しているが、その提携関
係をさらに進めて対抗する可能性もあるという。
一方で「メリットが大きければ、ゆうちょ銀との提携も選択肢だ」と考える地銀もあり、ゆうちょ銀の動向が地方金融機関再編の呼び水となる可能性もある。
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引用元:アトランティカ rmt
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